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糖尿病内科

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2型糖尿病
経口薬治療について

2型糖尿病

2型糖尿病の病態

① インスリン分泌能とインスリン抵抗性の評価
2型糖尿病の病態の評価が必要である。治療に先立って空服時血糖値と同時に血中インスリン値(IRI)あるいはCベプチド値を測定し、インスリン分泌低下とインスリン抵抗性のどちらが主体となる病態なのかを評価すること。
空腹時IRIやCベプチド、血糖など。

② 食後高血糖か空腹時高血糖か
空腹時血糖が150 mg/dL以上の症例では、α-GIやグリニド薬といった食後血糖降下薬の効果は乏しい。したがって150 mg/dL以上の空腹時高血糖の患者に対しては、上記2剤はファーストラインとならず、空服時血糖低下が期待できる薬剤を病態に応じて用いるべきである。

インスリン分泌能とインスリン抵抗性の指標

インスリン分泌能の指標

HOMA-β(%)=【空腹時IRI(μU/mL)×360】÷【空腹時血糖(mg/dL)-63】

  • 正常
  • 50~120
  • インスリン分泌能低下
  • 20~50
  • 確実なインスリン分泌能低下
  • 20以下

空腹時Cペプチド(CPR)(ng/mL)

  • インスリン分泌能低下
  • 1.0以下
  • 確実なインスリン分泌能低下
  • 0.6以下

Cペプチドインデックス=(空腹時CPR÷空腹時血糖)×100

  • インスリン分泌能低下
  • 0.8未満
インスリン抵抗性の指標

空腹時IRI(μU/mL)

  • 基準値
  • およそ5~15
  • インスリン抵抗性
  • 15以上

HOMA-R=空腹時IRI(μU/mL)×空腹時血糖(mg/dL)÷405

  • 正常
  • 1.6以下
  • インスリン抵抗性疑い
  • 1.6~2.5
  • インスリン抵抗性
  • 2.5以上

(空腹時血糖140 mg/dL以下で有効)

それぞれの経口糖尿病薬の特徴

分類 利点 欠点
インスリン抵抗性改善系 ビグアナイド薬 ・長期的な使用経験
・低血糖リスクが低い
・大血管イベント抑制の可能性
・消化器症状の副作用
・乳酸アシドーシス(稀)
・ビタミンB12欠乏
・多くの禁忌:腎障害,アシドーシス,低酸素血症,脱水
チアゾリジン薬(アクトス) ・低血糖リスクが低い
・脂質改善作用
・大血管イベント抑制の可能性
・強いHbAlc低下効果
・体重増加
・浮腫/心不全
・骨折
インスリン分泌促進系 スルホニル尿素薬(SU薬) ・長期的な使用経験
・強いHbAlc低下効果
・最小血管症リスクの低下
・低血糖
・体重増加
グリニド薬
(シュアポスト、ファステック、スターシス)
・食後血糖の低下
・用量調整可能
・低血糖
・体重増加
・頻回投与
DPP-4阻害薬 ・低血糖リスクが低い
・忍容性に優れる
・低血糖
・体重増加
・頻回投与
糖吸収・排泄調整系 α-グルコシダーゼ阻害薬 ・低血糖リスクが低い
・大血管イベント抑制の可能性
・弱いHbAlc低下効果
・消化器症状の副作用(鼓腸,下痢)
・頻回投与
SGLT2阻害薬 ・低血糖リスクが低い
・体重減少
・血圧低下
・大血管イベント抑制
・尿路
・性器感染症
・多尿
・体液量減少/低血圧
・ケトアシドーシス

糖尿病薬の比較

BG薬 TZD SU薬 グリニド薬 DPP-4
阻害薬
α-GI SGLT2
阻害薬
HbA1c低下作用
低血糖リスク 低い 低い あり あり 低い 低い 低い
体重増加リスク 低い あり あり あり 低い 低い 体重減少
副作用 消化器症状 ・浮腫
・心不全
・骨折
低血糖 低血糖 まれ 消化器症状 尿路感染症ケトアシドーシス
コスト

BG:ビグアナイド,TZD:チアゾリジン誘導体

糖尿病の基礎治療

(ステップ1)
ビグアナイド系:メトホルミン等 肥満患者に適応
   原則不適応:腎機能低下症例・高齢者75歳以上は不可・重度心血管疾患保持者等

(ステップ2)
DPP4阻害薬(メトホルミン適応外の際にファーストチョイス)
   空腹時血糖140から200程度ではファーストチョイス
αグルコシターゼ阻害薬を投与
   空腹時血糖140以下である軽度糖尿病でファーストチョイス

(ステップ3)
SU薬 (1、2でコントロール不良時には上記を含めて3剤併用)

経口糖尿病薬の特徴

肥満への影響といった観点からは、SU薬,グリニド薬,チアゾリジン薬は体重増加リスクが高く、メトホルミン,DPP-4阻害薬,SGLT2阻害薬,α-GIはそのリスクが低い。

腎機能に応じたメトホルミン量

eGFR(mL/分/1.73m2) メトホルミン1日量高投与量の目安
45 ≦ eGFR < 60 1,500mg
30 ≦ eGFR < 45 750mg

●メトホルミンを開始する際の容量は?
メトホルミンの効果は用量依存的であるが,消化器症状の副作用も同じく用量依存的である.したがって1日500mgから開始し,副作用を確認しながら250~500mℊずつ増量していく

●本当に第一選択は内服薬治療でいいのですか? インスリンの絶対的適応を見誤らないこと、300mg/dL以上の著明な高血糖.高血糖に伴う自覚症伏の存在,尿ケトン体強陽性や感染症を併発している場合には,ただちにインスリン治療を開始する必要がある。

高齢者

低血糖リスクがあるSU薬やグリニド薬は避けた方が望ましいが、用いる場合には用量調節に細心の注意を払い、低血糖出現を予防しなければならない。また腎機能低下や易感染性、食事や水分摂取が不安定といった状況から、処方できる薬剤は限定されるためDPP-4阻害薬がファーストラインになると考える。

Initial combination

糖尿病薬を開始するときは単剤から投与し、副作用の出現や血糖低下作用を確認しながら、効果が不十分な場合は2剤目を検討していくという原則を重視する。

2型糖尿病の病態

*チアゾリジン:SU,BG,αGIで効果不十分でインスリン抵抗性が強い時、心不全では禁忌
*GLP-1受容体作動薬:消化管から分泌され膵臓β細胞からインシュリン分泌を即すホルモンの一種でGLP類似薬。DPP4に分解されにくい。(ビクトーザ等)
※DPP4 は血糖を40程度低下させる

○神経症状進行の抑制には、エパルレスタット(キネダック)を用いる。1回50mg、1日3回食前に服用する。キネダックは、しびれに対しての効果は弱いが、進行を抑制する。
しびれ、痛みにはデュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)が有効であり、40mgを1日1回、20mg 2錠投与する。20mgより開始し1週間以上空けて20mgずつ増量し、60mgまで増量可である。プレガバリン(リリカ)もよく用いられ、1回75mgないし150mgを1日2回 朝夕食後に服用する。めまい、ふらつきの副作用軽減のため、75mgを1日2回から開始する。メキシレチン塩酸塩(メキシチール)は1回100mgを1日3回食後服用も痛みに有効である。
足のつりには、タウリン散1回2gを1日3回食後服用や、芍薬甘草湯が有効である。セルシン2mg眠前も効果的とされる。

腎障害合併例

① 腎障害合併例で禁忌または使用できない糖尿病治療薬
メトホルミン(メトグルゴ)は重度の腎機能障害(eGFR<30 mL/分/1.73 m2)で禁忌となり、SGLT2阻害薬もeGFR<45 mL/分/1.73 m2では効果が減弱することが知られている。また、ビオグリタゾン(アクトス)とSU薬は重篤な腎機能障害で禁忌となる。さらに、グリベンクラミド(オイグルコン,ダオニール)やグリメピリド(アマリール)のような作用時間が長いSU薬では腎障害によって効果が遷延しやすく、結果として低血糖リスクが増加するうえ、低血糖自体が長時間遷延し(選延性低血糖)、重篤な後遺症をきたすおそれかある。

② 腎障害合併例で安全に使用可能な経口血糖降下薬は3種類のみ
したがって腎障害合併例で安全に使用可能な経口血糖降下薬はDPP-4阻害薬、グリニド薬、α-GIの3種類しかなく、インスリン分泌促進系薬を用いる場合はSU薬よりも作用時間の短いグリニド薬の方が安全と考えられる。なお,後述する通りグリニド薬間で添付文吉上の禁忌,慎重投与が異なる点に注意が必要である

ステロイド糖尿病

ステロイド糖尿病治療の原則はインスリンであるが、ステロイド糖尿病において血糖値は昼から夕方にかけて著しく上昇し、夜間から低下して早朝は最も低くなるという特徴的なパターンを呈する。このため、SU薬のように24時間均等に作用する薬剤では日中の高血糖残存と夜間から早朝にかけての低血糖をきたしやすい。ステロイド糖尿病の血糖管理における原則は超速効型(または速効型)インスリンの1日3回投与だが、軽症例ではグリニド薬による管理も可能である。

経口糖尿病治療薬 各論

<α-グルコシダーゼ阻害薬>

α-GIは、α-グルコシダーゼを阻害することにより、食後血糖の上昇を穏やかにする。鼓腸、腹満、放尿、便秘、下痢などの消化器症状を生じやすい。グルコバイは、投与開始後半年間は毎月、その後も定期的に肝機能検査を行う。ベイスンも肝機能障害の報告があり、投与開始半年間は特に注意して用いる。セイブルは腎排泄のため、クレアチニン値2.0mg以上の症例には投与しない。

<メトホルミン(ビグアナイド薬)>

 メトホルミンは、肝臓における糖新生抑制、腸管からのブドウ糖吸収抑制、末梢組織のブドウ糖取り込みの増加により血糖値を下げる。インスリン抵抗性のある症例(特に高インスリン血症)に適応する。肥満例でも非肥満例でも効果がある。安価で、低血糖を起こしにくく、体重が増えにくい、がん予防効果の報告もある、GLP-1分泌を増やすなどメリットが多く、欧米では第一選択薬となっている。重篤な副作用として乳酸アシドーシスがあるが、頻度は3万人に1人程度で適応を守れば通常起きない。eGFRが30(mL/分/1.73㎡)未満の場合にはメトホルミンは禁忌である。eGFRが30~45の場合には、リスクとベネフィットを勘案して慎重投与とする。特に、75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要である。
脱水、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、過度のアルコール摂取の患者で禁忌である。また、すべてのメトホルミンは、高度の心血管・肺機能障害(ショック、急性うっ血性心不全、急性心筋梗塞、呼吸不全、肺塞栓など低酸素血症を伴いやすい状態)、外科手術(飲食物の摂取が制限されない小手術を除く)前後の患者にも禁忌である。軽度~中等度の肝機能障害には慎重投与である。
下痢しやすいので、漸増する。1日500mg(2回分服)より開始し、効果が不十分であればメトグルコの場合は6錠まで増量する。高齢者でなければ最大9錠まで増量できるが、量に比例し下痢の頻度が増えるので、最大量まで使える人は少ない。メトグルコ(一般名メトホルミンMT)は9錠まで、他のメトホルミン(一般名メトホルミン)は3錠までの投与となっている。食前投与の方が、薬効が出やすいと考えられている。

<SU薬>

SU薬は、血糖降下作用が強いが、膵臓のSU受容体に持続的に結合し、強制的にインスリンを分泌させるので、膵臓の疲弊を招きやすく、低血糖も起こしやすい。使うとしても最少量に留めたい。SU薬の中では、グリミクロンHA20mg(一般名グリクラジド)の低血糖リスクが少ない。

<グリニド薬>

グリニド薬は、SU受容体に短時間しか結合しないため、食直前に服用すると、食後の血糖値の上昇を抑制する。血糖降下作用は弱く、低血糖を起こしにくい。空腹時血糖値が高くない、食後高血糖、特に初期インスリン追加分泌の低下している患者に有効である。スターシス(ファスティック)、グルファスト、シュアポストがある。前二者は腎機能障害のある場合は慎重投与であるが、シュアポストは使用できる。速やかに血糖値を下げるので食直前に投与する。SU薬と同じ部位に作用するので、併用はしない。

(1) 薬の作用機序

① グリニド薬は服用後数時間のみインスリン追加分泌を増強する
グリニド薬は膵β細胞のSU受容体(SUR1)に結合し、強制的にKATPチャネルを閉じることでインスリン分泌を増強する。この作用はSU薬と類似しているがSU薬のように24時間持続的には作用せず、作用時間は数時間にとどまる。グリニド薬はこの「短時間のインスリン分泌増強作用」によって食後高血糖を是正し、結果として血糖変動を平坦化する。

② グリニド薬は食後のインスリン分泌タイミングを前倒しする
グリニド薬によるインスリン分泌の特徴として、特に食後早期のインスリン分泌を改善することでインスリン分泌のタイミングを前倒しする効果がある。一般に肥満症例では食後のインスリン分泌総量は保たれていても分泌遅延を認めやすいが、グリニド薬はインスリン分泌のタイミングの前倒しにより肥満症例でも有効な食後高血糖是正が得られる。また、インスリン分泌が前倒しになった結果、後半の遷延分泌が不要となることで膵β細胞機能を保持することにつながりうる。

(2) 薬の特徴

① グリニド藁は内服薬で最も強力な食後高血糖改善薬である
グリニド薬は経口血糖降下薬のなかで最も食後高血糖改善効果の高い薬剤である。食後高血糖を認める場合、近年はDPP-4阻害薬が第一選択となることが多い。しかし、DPP-4阻害薬効果不十分例や使用不可例ではグリニド薬が追加薬剤の第一候補となりうる。特に食後の追加インスリン分泌低下が疑われる非肥満症例や、食後のインスリン分泌反応遅延が疑われる肥満例に適している。ただし、SU薬同様に、インスリン分泌が高度に低下した症例では効果が期待できない。

② SU薬との違い
大まかなイメージとしては、SU薬が1日1~2回の服用で持続的なインスリン分泌を促して1日の血糖全体を「ダルマ落とし」的に下げるのに対し、グリニド薬は食後のインスリン追加分泌を増強し、食後高血糖を是正することで血糖日内変動を平坦化する。
SU薬と比較した場合、グリニド薬のメリットは① 食後高血糖を是正できる点、② 低血糖(特に夜間低血糖や腎機能障害例における遷延性低血糖)が少ない点、③ 体重が増加しにくい点であるが、逆に① 服薬回数が多い点、② 摂取する食事の内容(低糖質食など)によってはむしろ低血糖が増加することがある点はデメリットとなる。

③ グリニド薬の心血管イベント抑制
グリニド薬は少なくとも心血管イベントリスクを増加させない、もしくは抑制する可能性があるかもしれない。

(3) グリニド薬を選択するシチュエーション

(グリニド薬を選択するシチュエーション)
・DPP-4阻害薬服用下(または使用不可例)で食後高血糖が残存する症例
・BOTにおける併用または強化療法中の超速効型インスリンからの切り替え
・腎障害合併例
・比較的軽度のステロイド糖尿病

BOT:basal-supported oral therapy

(DPP-4阻害薬以外の食後高血糖改善薬の比較)

グリニド薬 α-GI 超速効型/速効型
インスリン
GLP-1
受容体作動薬
血糖改善効果 ○高 △弱 ○最高 ○高
低血糖リスク △中 ○低 ×高 ○低
体重増加 △不変~
わずかに増加
〇不変 ×増加 ○減少
低血糖・体重増加以外の副作用 ○少ない ×下痢・便秘 ○少ない △嘔気・嘔吐
DPP-4阻害薬との併用 ○可 ○可 ○可 ×不可
投与経路 ○経口 ○経口 ×注射 ×注射
投与回数 ×食直が3回/日 ×食直前3回/日 ×食直前3回/日 ○1~2回/日◎ 週1回
コスト ○中 ○中 ×高 ×高

※DPP-4阻害薬とグリニド薬の併用は,食後のインスリン分泌を著明に改善する!

BOTにおける併用または強化療法中の超速効型インスリンからの切り替え

1)持効型インスリン単独では食後高血糖を是正できない
basal-supported oral therapy(BOT)は1日1回の特効型インスリンを経口血糖降下薬に上乗せする治療法である。BOTを開始しインスリンを漸増すると多くの症例で早朝空腹時血糖値は改善するが、食後高血糖の是正は困難な場合も多い。BOT導入例のほとんどはすでにDPP-4阻害薬が併用されているため、食後高血糖が残存する場合は前述のやはりグリニド薬が適する場合が多い。

2)SU薬からグリニド薬への切り替えはSU薬を減量してから
BOT導入時にSU薬をいきなりグリニド薬に変更すると血糖コントロールは高率に悪化する。したがって、高用量のSU薬を使用している症例では特効型インスリン漸増にあわせてSU薬を漸減し、SU薬をある程度減らした状態でグリニド薬に切り替えるほうがよい。具体的な目安として、グリメピリド(アマリール)なら2 mg/日、グリベンクラミド(オイグルコン,ダオニール)なら1.25mg/日、グリクラジド(グリミクロン)なら40mg/日程度に減量してからの切り替えが望ましい。

3)BOTへのグリニド薬追加時は早朝低血糖に注意
本来グリニド薬は作用時間が短く、前回服用から最も時間が経過している早朝空腹時に低血糖をきたすことはほとんどない。しかし、BOT症例のなかには適量の特効型インスリンで就寝前から早朝にかけて大幅に血糖を下げている症例がある。このような症例にグリニド薬を追加した場合、就寝前高血糖の改善に伴って夜間血糖のスタートラインが低めにシフトし、早朝に低血糖をきたすことがある。したがって、就寝前血糖≧200 mg/dL、早朝血糖値80~90 mg/dL、というようなBOT症例にグリニド薬を追加する場合は特効型インスリンを多少減量しておくほうが無難である。

4)強化インスリン療法からのステップダウンする場合の切り替え方法
著明な高血糖状態で発見され強化インスリン療法を導入した症例では、糖毒性解除後にBOT療法、内服療法へとステップダウンする症例が少なからず存在する。強化インスリン療法からBOTへと治療をステップダウンする場合、まずDPP-4阻害薬を追加した後に超速効型インスリンをグリニド薬へ切り替えると上手くいくことが多い。しかし、その際にすべての超速効型インスリンを一気にグリニド薬へ切り替えると失敗することがある。このような場合、まずは1日のうちどこか1回(主に昼食時)のインスリンをグリニド薬に切り替えて食後血糖値を測定してもらい、問題がなければ朝食時、夕食時も切り替えていく。ただしグリニド薬はあくまで内因性のインスリン分泌が保たれている場合に効果を発揮する薬剤であり、インスリン分泌が高度に低下した症例ではごく少量でも超速効型インスリンが必要な場合がある。痩せ型の糖尿病症例や慢性腸炎に合併した糖尿病症例などでは注意が必要である。

5)超速効型インスリンからグリニド薬への切り替えが上手くいく症例の特徴
強化インスリン療法における超速効型インスリンをグリニド薬へ変更した際に血糖管理が悪化しない症例の特徴として、若年、高BMI、体重あたりのインスリン必要量が少ないことを挙げている。

(グリニド薬間の使い分け)
現在国内で使用可能なグリニド薬にはナテグリニド(ファスティック,スターシス)、ミチグリニド(グルファスド)、レパグリニド(シュアポスト)の3剤がある。これらはSU受容体の結合部位が異なり、効果や作用時間にも差がある。血糖改善効果に関して、レパグリニドはナテグリニドと比較して有意にHbA1cを低下させることがランダム化比較試験で証明されている。レパグリニドが最もHbA1c改善効果が高い。
作用時間に関してはレパグリニド(シュアポスト)の作用時間が他の2剤よりもやや長く、(明確な比較試験はないものの)低血糖も次の食事の直前など、食事からある程度時間が経ってから起きることが多い印象がある。
また、腎機能障害例における禁忌・慎重投与に間しては「透析を必要とするような重篤な腎機能障害のある患者」ではナテグリニドは禁忌、「腎機能障害のある患者」ではナテグリニドとミチグリニドは慎重投与、「重度の腎機能障害のある患者」ではレパグリニドは慎重投与となる。したがって、HbA1cが高い症例や腎機能障害例ではレパグリニドの使用頻度が高い。レパグリニド(シュアポスト)は用量調節の範囲が広いため効果不十分な際も増量で対応しやすい。

(グリニド薬間の違い)

ナテグリニド
(ファスティック,スターシス)
ミチグリニド
(グルファスト)
レパグリミド
(シュアポスト)
結合部位 SUR A 結合部位 SUR A 結合部位 SUR B 結合部位
血中半減期位 0.8 1.2 0.8
作用時間(時間) 3 3 4
用量 90mgを1日3回毎食直前、効果不十分なら1回120mgまで増量可 10mgを1日3回毎食直前、患者の状態に応じて適宜増減 1回0.25mgより開始し、1日3回毎食直前、維持容量は通常1回0.25~0.5mgで1回1mgまで増量可

使用上の注意

① 低血糖を避けるために
グリニド薬服用後はインスリンが急速に分泌されるため、服用方法を間違えると低血糖をきたす。特に、食事を食べないときや糖質制限食のような炭水化物が極端に少ない食事を摂取した際にグリニド薬を服用すると高率に低血糖をきたす。このため主食(米飯,パン,麺類など)を食べないときはグリニド薬を服用しないよう事前に指導する必要がある。

② 飲まない薬は効果がない
グリニド薬は1日3回毎食直前に服用する必要があり、服薬アドヒアランスが不良な症例では十分な効果が期待できない。

チアゾリジン誘導体

ピオグリタゾン(アクトス)のみが発売されている。肥大した脂肪細胞を減らし分化した小型脂肪細胞を増加させ、TNF-α、FFAなどのインスリン抵抗性惹起物質を減らし、アデイポネクチンを増やすことでインスリン抵抗性を改善する。肝臓や骨格筋の細胞内脂肪蓄積を減らす。肥満例に有効であるが、非肥満でも効果があるケースも少なくない。食事療法が守れないと顕著に体重が増えるので、節制できる患者のみに使用したい。1日1回の服用でいいのは長所で、少量でも効果がある。女性ではむくみが出やすい。むくみやすい人、心不全、骨折既往のある女性、喫煙者には投与しないほうがいい。勝胱がんの患者は禁忌である。女性では15mg半錠でも効果があるケースが少なくない。効果判定は数カ月後以降に行う。効果があってもむくむ時は、1/4錠に減量ないしラシックス(10mg)を追加する。ピオグリタゾン(アクトス)は、45mgまで使用可能であるが、副作用回避のため、少量投与を基本としたい。浮腫は、女性、インスリン併用時、糖尿病合併症発症例、45mgに増量時に多くみられる。膀胱がんのリスク(フランスの調査で、男性において1万人に1人程度発症が増えた)について事前に患者に話しておくことが義務づけられている。米国FDAの前向き調査の最終報告では有意差がなかったと報告されている。

※血糖降下作用に加えて、心血管イベント抑制、非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease : NAFLD)改善など、生命予後やQOLに直結しうる合併症に対してもエビデンスを有する一方で、特有の副作用や注意すべき点もあり。

(1) 薬の作用機序
エネルギー摂取過剰状態では、脂肪組織に貯蔵しきれない余剰の脂肪は肝臓や骨格筋などに異所性に蓄積し、これがインスリン抵抗性を惹起する。また、肥大化した脂肪細胞自身も、“善玉”アディポカインであるアディポネクチン分泌の低下、インスリン抵抗性因子であるTNF-α、FFA、レジスチンなどの過剰産生を介してインスリン抵抗性の増大に直接的に寄与している。
チアゾリジン薬は、脂肪細胞分化を制御する核内受容体型転写因子であるPPARγを活性化することでその薬効を発揮する。PPARγの活性化は① 脂肪組織への脂肪蓄積の促進による異所性脂肪の減少、② 大型脂肪細胞のアポトーシスによるインスリン抵抗性因子の低下、③ 小型脂肪細胞の分化促進によるアディポネクチンの増加などの作用をもたらし、結果としてインスリン感受性を改善し、血糖を低下させる。

(2) 薬の特徴
低血糖リスクが少ないこと。
2次予防を含めた心血管イベント、NAFLD・NASH(non-alcoholic steatohepatitis,非アルコール性脂肪性肝炎)についてもエビデンスがあり。

(3) 副作用、使用上の注意
浮腫、心不全、体重増加は体液貯留に加えて、脂肪細胞分化の促進に伴う皮下脂肪の増加によって生じる。特に女性において副作用が生じやすく、より低用量(アクトス7.5 mg,1日1回)からの開始も考慮する。また、女性では骨折の発現頻度の上昇も報告されており、特に閉経後などの場合は骨折リスクにも留意する。
膀胱癌発症との関連が報告、投与に際しては膀胱癌リスクの説明、および定期的な尿スクリーニングが求められる。

(4) チアゾリジン薬使用の実際
使用後の血糖推移
開始後6ヵ月時点で最大のHbA1cの低下効果を示しており、個人差はあるものの、効果の安定化までに数カ月程度を要することを認識する。

(チアゾリジン薬使用中に評価・把握すべきポイント)

浮腫,心不全 ・BNP
・胸部X線、心エコーなどによる心不全の評価
・浮腫、心不全症状の有無
・Na摂取過多の有無
体重増加 ・食習慣の乱れの有無
骨粗鬆症
(特に閉経後女性)
・骨密度
・骨折の有無(圧迫骨折なども含めて)
・ステロイド等の内服
膀胱癌 ・尿潜血スクリーニング

DPP-4阻害薬

食物が消化管を通過する時に分泌され、インスリン分泌を増幅させる効果を有するホルモンをインクレチンといい、GLP-1とGIPの2種がある。生体内ではDPP-4により分解され、数分で効果を失うが、DPP-4阻害薬により効果が持続する。インクレチンは膵β細胞膜上のG蛋白受容体に作用し、細胞内のcAMP濃度を上昇させインスリン分泌を増幅する。また、膵α細胞に作用しグルカゴンの分泌を抑制する。血糖値が低い時はインスリン分泌が起こらないため、この増幅経路の効果は出ない(ターボ効果と考えると理解しやすい。エンジンが回っていないと効果が出ない)ので、低血糖は起こりにくい。
GLP-1には心、腎、血管内皮などの保護作用などの膵外作用が知られている。
SU薬との併用では初期に低血糖を起こすことがある。SU薬の十分な減量を行い併用する。併用効果は強い。

SGLT2阻害薬

通常、腎臓の糸球体で濾過された原尿中のグルコースはそのほとんどがSGLT2によって血液中に再吸収される。SGLT2の働きを阻害することでグルコースの血液中への再吸収を抑え、尿中にグルコースを排泄し、血糖値を下げる。1日70gほど糖を排泄するので体重減少効果がある。モチベーションを上げる効果もあり、インスリン分泌が保たれていて、食事療法を守れる肥満患者には勧められる。血圧や、中性脂肪、尿酸、ALT改善効果もあり、それらも参考にするとよい。インスリンやSU薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる。75歳以上の高齢者あるいは65~74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある場合には慎重に投与する。脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じる。利尿薬の併用の場合には特に脱水に注意する。発熱・下痢・嘔吐などがある時ないしは食思不振で食事が十分とれないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションする。尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努める。
新薬ではあるが、心不全や総死亡を減少させた等の報告もあり、わが国でも使われるようになってきている。輸入細動脈を収縮させ糸球体内圧を下げる、黄斑症を改善させる、がん細胞が多くの糖を取り込む機序にSGLT2が関与している等が言われている。

糖尿病経口薬の使用パス

2型糖尿病の病態



     

港北メディカルクリニック 概要

院長
大澤 浩
標榜科目
内科、呼吸器内科、循環器内科、糖尿病内科、
消化器内科、アレルギー科、精神科
診療時間
午前 9:00~13:00 
午後 15:00~18:00
休診日
土曜日午後、日曜日、祝祭日
住所
〒224-0027
神奈川県横浜市都筑区
大棚町3001-8
電話
045-595-2660
FAX
045-595-2661
アクセス
横浜市営地下鉄 
センター北駅より徒歩8分
※駐車場完備

医療法人社団 凰和会理念
(医療ポリシー)

目標
私どもは、患者様に最高のクオリティ-を提供することで、パーソナルなサービスを求める患者様のご要望以上を満たすようケアサービス追及をしてまいります。
信条
私どもの最大の財産であり成功の鍵ともいえるのはスタッフ一人ひとりです。職務に当たっては各スタッフが尊敬とプライド、そして満足感を抱いていることが大切だと考えます。患者様に最高のサービスを提供し、そのサービスにご満足いただくためには、多くのスタッフの協力が不可欠です。スタッフの相互協力、そして貢献と価値を尊重し合うことが、最高のサービス実現への鍵だと考えております。
行動規範
私どもは互いの接し方そして相手に対する範の示し方を通じて私どもの理念を実行しています。患者様であれ、提携先であれ、スタッフ間であれ、常に自分がそうして欲しいと思う対応で相手に接しております。